やっとのことで消化管から吸収された薬。
このあとどうなるんでしょう?
腸から体内に入った薬は、腸と肝臓をつないでいる血管「門脈」を通り
肝臓へ運ばれます。
肝臓というと、「ああ、体にとって有害なものを解毒してくれるところね」と
一般的によく知られています。
腸から体に入ったものはまず、肝臓に運ばれて有害なものは除かれるなんて
動物というものは上手くできています。
肝臓は体内の化学工場と呼ばれていて、いろいろな酵素が働いていて
たんぱく質を作ったり、また、異物を分解したり、化学反応(酸化や還元等)を
起こして胆汁と一緒に体外に出したりしています。
吸収された薬も一部がやはり化学反応を受けてしまいます。
吸収された薬が最初に化学変化を受けてしまうことを「初回通過効果」といいます。
そして残りの薬が血液中に入り全身を回ります。
薬によっては肝臓で変化を受けないものもあります。
ところで、最初に肝臓は解毒をするところ、と書きましたが
現在、この表現は正しくありません。
というのは、肝臓は必ずしも有害なものを無害化するとは限らない
ことが知られているからです。
どういうこっちゃ?と思われるかもしれません。
発がん性物質はがんを発症させるものですが、そのほとんど90%は
肝臓で化学変化を受けて初めて発がん性を示すからです。
そのようなこともあり、解毒というよりも「代謝」という表現が使われるように
なっています。
以上ここまで4回に分けて”吸収”編として薬が体内に入るまで
いろいろな困難が待ち構えてることを書いてきました。
薬が吸収されるには、水分が必要だということ。
薬のすべてが吸収されるわけではない、しかし他のものとの影響で吸収される量が
変わるということ。
それらの影響が無ければ、一定の割合で吸収が行われること。(ということは体に入る量は
飲んだ量に比例するということになります)
次回は体の中での薬がどうなるか、です。
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